第164章 この書は、あなたが書いたの?

目の前の若い男は、以前、給湯室で陰口を叩いていた連中のひとりだった。

若い男は壁に掛けられた書から目を離せず、目を輝かせながら、その作品に見入っていた。

「山内先生、すごすぎませんか! たった数年で、腕が別次元じゃないですか!」

山内航大は、若い男の目がきらきらと輝くのを見て、胸の奥に溜め込んでいたこの三年の鬱屈と不満が、ふっとほどけていくのを感じた。

書の世界はそういうものだ。作品が実力を示し、実力がそのまま立場になる。

山内航大は相手の言葉に乗せて、穏やかに返す。

「この数年は、ひたすら積み上げてきただけですよ」

「なるほど……!」

若い男は腑に落ちたように頷いた。

山...

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